こんにちは、メノーです。
医学生や研修医の皆さんは、自分自身の『志望科』について、実習や実際の仕事を通して悩む時期が増えてくるかと思います。
はたまた、後期研修以降で専門科を持った時に『自分の思っていたのと、違った、転科したい...』と思い出した人もいるかもしれません。
その時『金』という観点にフォーカスする人が必ずいると思います。
昔と違ってこれからの時代は医者の給料も軒並み下がってくる事が予想されています。
現実問題として、時代の流れとしてお金の事が気になってしまうのは仕方ない事だと思います。
今回はどの科が儲かるのか?また儲からない科はどこか?にフォーカスして考えてみようと思います。
勤務医に関して言えば科はほとんど関係ない
まず大前提として、
勤務医の給料は微差はあれど軒並み一律です。
科によってどーこーとか、仕事いっぱいしてるからいっぱいもらえるとかありません。
勤務医=サラリーマンなので基本的にはどれだけ頑張ろうが同程度の給料しかもらえません。
自分の知っている病院で入院させた患者数や、受けた救急車の台数に応じてボーナスを支給する病院もありますが、それでも開業して経営者側に回る方がお金だけの観点でいえばはるかに上です。
なので勤務医をした後の開業医として高収入を獲得できる科について考えていきたいと思います。
開業医は『保険診療』か『自由診療』かの違いが大きい
開業医に関しては、比較するべきポイントが下記の3ポイントあります。
①自由診療か保険診療か ②競合の多さ ③参入障壁の大きさ |
①に関しては、保険診療である以上診療報酬に関しては国に決められてしまう為、ある程度自由が利かない部分があります。勿論自分が社長なので自分の給料は自分で決められる為、勤務医時代に比べるとその点での足かせは外れます。
一方自由診療においては診療内容の値段も自分で決める事ができる為、自分自身の経営手腕によっては保険診療の開業医より大幅に儲ける『可能性』が出てきます。
自由診療が行える科としては眼科、形成外科、皮膚科といった所でしょうか。内科で美容点滴してる人もいますね。
②に関しては、例えば自分の世代で皮膚科になる人が多いから開業は苦しい、とかある特定の地域には皮膚科がコンビニの数くらいある、とかいった自分の『店舗』のライバル店が多いかどうかというポイントになります。
ここに関してはある程度運任せになると思います。というのも、自分の科を決めてから開業するまで10-20年の年月が過ぎる事になるので、その際に今流行っている開業医も店じまいをしているかもしれませんし、新しい治療法が誕生しているかもしれません。
参考になるとすれば『自分の世代になる〇〇科の医者の数』かもしれませんが、女医が多ければ結婚して家庭に入ったりする人も多いでしょうし、科によって需要のある患者さんの人数も違います。
一概に『同世代の医者が多いから将来厳しい』などとは言えないのではないでしょうか。
ただし美容業界に関しては『大手』というジャンルも存在しますし値下げ競争も激しく、知り合いからはかなり競合としては厳しい状況だと聞いています。
が、そもそもの自由診療である事の優位性がある為お金だけにフォーカスするなら一概に捨てられない選択ではあります。
③に関しては、どれだけ自分の専門性を高められるかというポイントになります。
ビジネスの基本としてはよりニッチで、よりニーズのある選択をしていくべきと言われています。
まず医師免許という参入障壁を乗り越え、さらに専門科の専門医という障壁、さらにその科の中で自分の専門領域に特化した医者になり、その領域での『商品』が世の中でニーズのあるものであれば、ビジネスチャンスとしてはその時点で『勝てる』可能性が大幅に上がると思います。
自分のものすごく好きな分野で『研究』に邁進して自分だけの商品を作るという選択肢は、かなりアリだと思います。
もし失敗しても好きな分野の研究なのでその段階で満足する事ができますからね。
『食いっぱぐれる』心配はしなくていいが、『つぶしがきかない』事はある
次は『儲からない科』について考えていきたいと思います。
よく部長クラスの先生が研修医を勧誘する時に使う誘い文句として、
『内科は食いっぱぐれないから安泰だよ~』とか、
『外科はつぶしがきかないからね~』などと言って不安にさせる事があります。
要するに勤務医を終えてから開業しにくい、という事が言いたいんだと思います。
ただ、個人的な意見としては、『医師免許を持っていれば食いっぱぐれる心配はしなくていい』と思っています。
その日のご飯が保証されている程度には参入障壁の高いライセンスではあるので、さすがにその心配はしなくて良いのでは...と思っています。
ただ、『つぶしがきかない科』は存在します。
消化器外科はその代表格かもしれません。
産婦人科でも手術ばかりしていると不妊治療などの知識はほとんど身につかず開業できなかった、といった部長の先生の話も聞いた事があります。
ただし、『つぶしがきかない』というのは『選択の幅は狭まる』という事なので、例に倣ってご飯はちゃんと食べられます。
最終的に開業できなくても老健の所長など着地点は用意されています。
どちらかというと外科の先生方はかなり自己満足度の高い、ダイナミックな仕事をなさっているので、例えば手術できなくなり老健の所長に、など刺激の落差に耐えられないケースの方が目立つと思います。
まとめ
医者は一般的には安定した収入が保証されていると考えられているので、金銭面よりやりがいや嗜好で進路を決める人が多い印象ですが、今回はあえて金銭面にフォーカスして考えてみました。
結局お金だけの事を考えるなら自由診療の領域で生きていくべき、という当たり前ともいえる結論になってしまいました。
金銭目的だけで医者になった人は自由診療のフィールドで進路を模索すると良いと思います。
ただし自分の専門性を高めて自分だけの商品を作り、ビジネスの世界で勝負するという選択肢もあります。
自分の専門科と連関した部分で世の中にニーズがあるものを探っていくと思わぬビックチャンスが転がっているかもしれませんね。