こんにちは、メノーです。
日本で医者になっている全ての人が中学または高校受験、大学受験、大学に入学してからは単位の取得、そして医師国家試験の試験の連続であったと思います。
医者になっても専門医試験はありますが、基本的に普段の仕事に関しては定期試験はないので医者になったら他人が目標を作ってくれる時代は終わり、自分自身で自己を律して必要な知識を身に着けていく必要があります。
研修医の皆さん、または専門科に進まれた皆さんはある程度の基礎知識はあるとはいえ、概ね0からのスタートとなります。
試験の繰り返しをこなし、何度も0からのスタートをしてきた皆さんなのである程度のパターン認識ができている人もいるでしょうが、働きだすと勉強する事が多すぎるし、更には医学はすぐにアップデートするので必要最小限の労力で目標に到達したいものです。
ある程度、『研修医って具体的にはどのくらい勉強するものなのだろう?』という到達地点が示されていた方が人間頑張れるものですよね。各研修病院によって研修医の質も違えば、標準的に勉強している量も違うと思います。
勉強は皆さんご存知の通り質×量=成果なので一概には言えませんが、今回は勉強の質×量に関して『量』の側面から話していこうと思います。
結論から言うと、
『研修医はまず100冊本を読め』
2年間でのゴールはここを目標にして欲しいと思います。
まずは『この本何言ってるか訳分からない』状態を受け入れる事
何事も初学者にありがちなのが、勉強し始めたてにも関わらず理解できないからといって投げ出してしまう、という事です。
激しい受験戦争を潜り抜けて医者になった人も、いざ試験という媒体がないとすぐ投げ出してしまい、概念を理解するのを放棄する人がいます。
自分はそういった人を見た時に、
『訳わかんないのって当たり前じゃない?』と思ってしまいます。
ある程度の量を積み重ねる事による努力を怠って自分の適性を決めてしまう人が多く、もしそれで自分の夢や希望を諦めてしまうのであれば非常に残念な事だと思います。
まずは、『この本訳わかんない、意味不明』な事が当たり前である、という事実を受け入れましょう。
その上でさらに『意味わかんないけどとりあえず読んでみる』という状態が苦しく、つまらない作業である事を受け入れ、ひたすらに量をこなしてみましょう。
ある時ふっと、知識の点と点が線になり、繋がって広がっていく感覚を発見すると思います。
おそらくこの感覚は医者になるような人なら人生のどこかで必ず1度は体感しているものだと思いますので一旦その入り口を見つければ後は流れに任せるだけで良いと思います。
概要を掴むまではひたすらに量!
研修医の始め、自分は大学6年間遊び惚けてきたので、国家試験直前に詰め込んだ付け焼刃の知識もほとんど抜け落ちてしまい、実習もサボってばかりだったので医者という物がなにがなんだかわからない状態で、急に病院という人間の生き死にを扱う場所に放り込まれました。
何かを1から始める時ってほんとに何から手を付けて良いかわからないですよね。一番効率よく知識を身に着けたいけど、門外漢の状態ではどうやったら一番効率が良いか、どこが大事なポイントかは把握できません。何かを始める時はまず、霧の中をひたすら走り続ける、要するに量をこなすのが得策だと思っています。
『アウトプットできる』状態を目標到達点にする
そんなわけでなんとか社会人になったら仕事はできるようにならないとな、と思っていた自分がまずした事は、
『仕事が大事なポイントが何か説明できるようになるまで本を読み続ける事』です。
このアウトプットができる、という状態を到達地点としてほしいと思います。
自分は全ての分野がわけわかりませんでしたけど(笑)、特に多くの人が最初わからないのが抗菌薬の話かなと思います。とっつきにくい横文字の微生物の名前から抗菌薬のドラクエの呪文みたいな名前、色んな要素が複合している+基礎知識が少ないのでとっつきにくいんだろうなと思います。
これに関してもまずは読み物として完結できる本から入り概要を掴み、次に自分の仕事で実際に始めて使用した抗菌の実体験から話を広げ、辞書的な本を片手に抗菌薬の世界を広げ、最終的には自分の頭の中で抗菌薬の世界をある程度構築し後輩にアウトプットできるレベルまで到達させました。
ここに記載するのは簡単ですが本当に自分は何の知識もなかったので非常に苦労しました。『入り』の段階が非常に苦しく何の話だか全く抗菌薬の世界に没入できませんでしたが、その状態が当たり前である事を自覚していた為、自分を客観視する事ができ、走り続ける事ができました。
まともな医療をしている人はだいたい研修医時代に『100冊』読んでいる
そんなこんなで抗菌薬を始めとする各分野に関して『アウトプットできる』状態を目標到達点として勉強していくと、自分の体感としては、
『100冊』
が標準ラインになってくると思います。
勿論1を聞いて10も100も知れるような優秀な人ならもう少しボリュームを減らせるかもしれませんが、他の医者とも話す中でだいたいこの程度の量を読んでいる人がまともな医療をしている事が多かったです。
センスも重要な要素ですが、基本的に医学は知識量に比例して臨床能力は上がりますので、研修医室の本棚に全然本置いてないのにすごい仕事ができるとかそういった事はありえないと思ってもらって良いと思います。そうだとしたら努力しているのを人に見せたくないタイプの人でしょう(笑)
100冊と聞くと途方もない量に感じてしまうかもしれませんが、自分の中では読み物としてサラッと読めてしまうものや、辞書代わりに部分的に読むものも含めていますので、2年間自分に何が必要なのか、何が不足しているのか自覚的に研修を行えば自然と到達する量だと思います。
最も大事なのは自分の足りない部分に自覚的になる事!
一応今回は『量』にフォーカスしましたが、端的に言えば仕事ができたらいい訳で、『量』で目標を示すのはあくまでも仕事がさっさとできるようになる為の手段だという事を忘れないようにして下さい。
マラソンでもゴールなしでエンドレスに走り続けろと言われたらモチベーションが保てないですよね。
それと同様に眼前に旗が見えていた方が継続しやすいので、今回は具体的な目標設定をしてみました。
闇雲に100冊を読めばいいという話でもなく、自分の足りない知識に自覚的になり、そこの知識を能動的に、中心的に埋めていくという事を心がけて下さいね。
別の観点として、具体的な『なりたい医師像』の目標設定についてはこちらの記事で紹介してあります。良かったら参考にして下さい。
医者・研修医の仕事効率化|勉強における目標設定について