現役の内科医です。
今回は『救急ローテ中に読むべきおススメ本5選』というテーマでお話をしていきます。
研修医が救急外来をローテした時、または上の先生方が救急当番をする時におススメの医学書について紹介したいと思います。
自分も研修医時代から数えてに10冊-20冊くらいは読みましたが、その中で費用対効果が最も良かった5冊を選びました。
まず救急ローテする際に大事な事は、『考え方を正しいフォームで身につける』事です。
救急医の先生はテキパキと救急外来を回しながら、頭の中で
とざっくりですがこういった思考を絶え間なくし続けています。
救急で集中力を切らさない『体力』も必要ですが、頭の中に救急外来で必要な『知識』があればあるほど余裕ができ、体力の消耗も抑えられます。
パニくるのが1番疲れますからね。
そうならない為の『知識』を身に着ける本を紹介していきます。
闇雲に救急で仕事をしまくっても、慣れて内容が早くはなるかもしれませんが、
✓本当に危ない疾患の除外ができているのか?
✓今回は大丈夫だったが、一般的な対応としては間違っていたかも
なんて事が起こるので、しっかり勉強して論理的に救急外来での仕事を行いましょう。
それでは紹介していきます。
また、おススメの医学書TOP100を下の記事で紹介してありますので、良かったらそちらも読んでみて下さいね。
おすすめ医学書ランキング100冊【保存版・研修医もベテランも】
1位:救急外来ただいま診断中!
1位:救急外来ただいま診断中!
1位は『救急外来 ただいま診断中』です。
今の救急医学会の風雲児とも言える、坂本壮先生の書籍です。
まず研修医が救急外来でできなければいけない事は、『助かる患者を見逃して最悪の転機にならないようにする事』、要するに死ななくて良い患者さんを死なせない事です。最初の一歩ですがそこを自信を持って判断するのは難しいです。
この本では突飛な内容や目新しい知識が載っている訳ではないですが、各症候に対して必要な救急外来での基礎的事項が過不足なく散りばめられており、初学者にはこの本をお勧めしています。対話形式の部分もありサクサク読めます。
1巡読んだら次は胸痛の患者さんを見た後、失神の患者さんを見た後などにその項目を復習し、検査や鑑別にもれがなかったか確認しましょう。
その繰り返しで一人前の医者に近づいていきます。
この本を読んで救急外来での脳みその使い方をイメージできるようになっておきましょう。
こちらの記事でも紹介してあります通り、医学生にもおススメな本です。
研修医向け|医者になったらまず読むべき、基本を学ぶおすすめ本を5冊紹介!【レジデント】
動きながら考える!内科救急診療のロジック
動きながら考える!内科救急診療のロジック
2位は、『動きながら考える!内科救急診療のロジック』です。
この本は、実際に患者さんが来た時に対応している救急医の脳みそを丸ごと言語化したような本ですね。
救急では野球のバットの素振りと同じように、決まった正しいフォームで何百回、何千回と診察を繰り返す事で患者さんをより安全にあるべき方向へ導けるようになります。
間違ったフォームでの診察を覚えてしまい年齢を重ねていくと取り返しのつかない事になります。
なので特に教育体制の整っていない病院の研修医にこの本は読んで欲しいと思っています。
ものすごくテーマが絞られているので、この本は全体的な知識を得る為の本ではありませんが、書いてあるテーマ(肺塞栓や膵炎など)に関しては研修医として必要最低限の知識が載っているのでしっかり勉強しましょう。
3位:内科病棟・ERトラブルシューティング
3位:内科病棟・ERトラブルシューティング
3位は『内科病棟・ERトラブルシューティング』です。
『トラブルシューティング』の文字通り困った時に読む本です。
『緊急対応』に関してはこの本を読んでおけばある程度は対応できます。
前2冊よりより詳しく、かつわかりやすく説明してあるので、救急での仕事の雰囲気を掴んできた頃に一度読んでもらいたい一冊です。
内科ローテのおすすめ本としても紹介させてもらってます。
内科ローテ中に装備しておくべきおすすめ医学書TOP3!【研修医・レジデント向け】
4位:Primary-care Trauma Life Support 元気になる外傷ケア
4位:Primary-care Trauma Life Support 元気になる外傷ケア
4位は『PTLS 元気になる外傷ケア』です。
外傷に関してはまずこの本か、JATECのガイドラインに沿って決まり通りにやりましょう。
ある程度やる事が決めて書かれているので、この本の通りにやれば慣れてきたら自動的に体が動くようになります。
JATECのガイドラインもおススメなのですが分量が多くてオーバーワークになりがちなので、まずはこの本をおススメします。
めちゃめちゃコンパクトで持ち運びにも便利です。
研修中に余裕があればPTLSの講習も受講しましょうね。
5位:ER・救急999の謎
5位:ER・救急999の謎
5位は『ER・救急999の謎』です。
この本は救急におおよそ慣れてきた頃に読むのがおススメです。
というのも、この本では良い意味で、主観を完全に排除して書かれています。
ひたすら原著論文からのデータを吟味し、データに基づきどういう選択をするのがベストに近いのか、について書かれています。
1年目の冬~2年目の春あたりに読むと、実際に仕事をする中で水面下でたまっていた疑問に対して『なるほど!そうだったのか』とうなづける部分が多いかもしれません。
研修医への本としてはアドバンス向けですが、救急外来である程度働いてから読むと疑問が解消されて超スッキリする本です。
おわりに
最後におススメ本の内容をまとめて終わりにしようと思います。
ポイント
✓1位:救急外来ただいま診断中は救急の基本を1から徹底的に書かれている+文字も大きくて読みやすい導入にもってこいの本!
✓2位:動きながら考える!内科救急診療のロジックは救急医の脳内シミュレーションができる臨場感に溢れた本!
✓3位:内科病棟・ERトラブルシューティングは内科・ERでの両刀使いができ、エビデンスに富んだ情報信憑性の高い本!
✓4位:PTLS 元気になる外傷ケアは外傷救急のいろはを短い中で凝縮させた本!
✓5位:ER・救急999の謎は救急に慣れてきた人の日々の疑問を解決するのに持ってこいの本!
といった感じになります。
難易度の低い順に紹介しました。
最も勉強になるのは勿論現場ですが、しっかり予習復習をして早く仕事が円滑にできるようになりましょう。
当サイトでは他にも医学書のおススメ本を紹介しているので、良かったら参考にして下さいね。
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